発達障害

【自分を知る】自閉症のボトムアップ思考の優位性

まいぴ
こんにちは、まいぴです。

 

私は、アスペルガー症候群と診断されています。

(2012年10月ごろ)

 

慈恵医大病院で、一度、先生が交代してから、「あなたはアスペルガーじゃないです」と診断を撤回されました。

(2016,8~2021,3)

 

しかし、同じ先生が4~5年診た結果、「やはりあなたは発達障害ですね」と言われたので、わかりにくいタイプの発達障害なんだろうな~で落ち着いています。

 

私はこのサイトを読んだ人にどうなって欲しいか?のゴールを先に決めています。

それは、自閉症の傾向があるあなたが自分らしく充実した人生を送って欲しいということです。

 

そのためには、前回「自分のスイッチ」を知ること。

まず「自分の好きなことをリストアップする」ことと書きました。

 

これは「見通し弱い」ということをカバーするための手段です。

 

好きなことのためなら、すごい力が発揮できるのが発達障害人です。

 

ならば、「好きなこと✖見通し」によって、今はこれを頑張ろう、これを頑張ったら〇〇(好きなもの)だ!と思えるというのがスタートになります。

 

何度もいいますが、これは長期的な思考の補助に役立ちます。

 

私は、お楽しみのリストアップをしながら、見通しをスケジュールで意識しながら日々を過ごしています。

ここまでが前回のお話でした。

>発達障害の人生をうまくいかせるには?」

 

今回は、自分を知るシリーズとして「ボトムアップ思考」の話をします。

 

知能検査はあなたの本当の力を「覆い隠す」ことがある。

(見渡す限りの雪山には何も見つからない・・・?)

まず、自閉症では日本でよく使われているとされるであろう知能検査である「ウェクスラー」では3分の1の人が低機能になります。

 

しかし、それはウェクスラーの知能検査が、視覚的な情報伝達ではなく、口頭でしゃべったりするなどの「対人的能力」を必要とする場合があるからです。

 

自閉症では、言語よりも視覚的な理解が強いです。

 

そのため、頭の中で理解しているのにうまく言語で表現できなかったり、あるいは、その反対に「言語でしゃべっているほどには、頭では理解していない」ということがよくあります。

 

つまり言語を媒介主体とした知能検査では、それらの能力の差によってかなりの差が出てしまうということです。

 

(参考:モントリオール大学リヴィエール=デ=プレーリー病院の自閉症研究者ミシェル・ドーソンのチームによる2007年の研究による)

この研究では、レーヴン色彩斬新的マトリックス検査では、自閉症の得点はウェクスラーでは平均以下の知能だった者が、正常域に入っていました。

 

レーブン標準前進的マトリックス検査は、すべて非言語で規則性のある図形から、空白になっている図形を選ぶテストです

 

つまり、自閉症のあなたが、病院で診断された知能検査にあまりこだわる必要はないということです。

 

 

わざわざあなたの弱みを使った検査法を用いているので、実際よりも低く出てしまうのです。

 

視覚的に理解すれば、平均以下の知能でも平均的な知能と同じように理解が可能である

 

それは、あなたの困りごとをすべて否定するということではありません。

 

定型発達とは異なった脳の処理の問題によって、困りごとや辛いことが起きてしまうのは事実です。

平均以下の知能の自閉症の人もすべて視覚的な実践をすれば「定型発達」と同じように生きれるというつもりもありません。

 

ただ、知って欲しいのは、あなたはっとあなたの理解しやすい方法を用いることで

今よりももっと人生を生きやすくすることは可能だと信じるための「根拠」がありますということです。

 

弱みだけに注目せずに「強み」を探す

 

自閉症は細部を見る力が高い

(樹氷が溶ける季節になると・・・)

雪山で歩くあなたには、自分の強みが一望しただけでは見つからないと訴えるかもしれません。

しかし、自閉症には、強みといえる特性があります。

 

それが、「細部を見る力」です。

 

私も大学病院でロールシャッハテストで、一番はじめに心理士さんの評価で言われたことです。

「全体反応が少ないですね。細部への言及が多いです」

「テクスチュア反応が出ていますね。これは自閉症の人の特徴なんですよ」

 

自閉症はパズルのピースの1つずつを認識して、絵を作るような脳の仕組みをしています。

もっと簡単にいえば「福笑い」です。

福笑いとは、目隠しをしたまま、顔の形だけの図形に

「眉毛・目・鼻・口」のパーツを置きます。

そのあと目隠しをはずして「自分の作った顔の全体」を認識するというとても楽しい遊びです。

 

このように「小さい集まりによって全体が構成されている」というように処理しやすいのが自閉症です。

ボトムアップ認知処理といって、これは「中枢神経統合の弱さ(セントラル・コヒーレンス)」と呼ばれているものです。

 

自閉症がボトムアップ認知しかできないということではありません。定型発達も自閉症でもトップダウンとボトムアップを使い分けています。

 

自閉症は細部を見る力が強いのです。

 

細部を見る力は「対人パターン」にどう影響するか?

この自閉症の「細部に注目しやすい」というのはどのように現れるのでしょうか。

 

表にしてみました。

 

メリット(強み) デメリット(弱み)
対人パターン 人間・情動を介さず

純粋なパターンそのまま見ることが可能である

対人パターンでは

顔の表情における全体統合が弱いため

表情分類に困難性

言語 視覚領域と空間認知領域をより使う

=視覚からの非言語的な「違和感」を察知できる

 

文章・言語の全体の文脈や意図が読めない

状況判断ができない

問題解決

 

事実からの積み上げによる精度の高さ 経験則による素早い応用による類似パターンの予測や判断ができない

 

私は、この自閉症の人の「細部に注目する」という性質がもっと役立つと考えています。

一般的な非自閉症では、少ない事例でも「似たような事例」をあてはめることで、応用させていくという手法をとっています。

それによって、臨機応変であり、短時間で素早い決定が可能となっていると思われます。

 

これは、現代社会においては「頭の回転の良さ・対応力」として重要視されています。

 

しかし、この場合のトップダウン処理(主に定型発達が得意とする)は、精度という点においては、雑すぎます。

 

自閉症は、レゴブロックの1つ1つの要素をしっかりとわかって組み立てるのです。

自閉症がレゴブロックのような1要素を使って、全体像が見えたとき(全体を組み立て終わったとき)

トップダウンの人が外側から推測した「仮定の建築物」を優に超えています。

定型は素早く似ているものを「こうだろう」と仮定の家をつくります。

そこには一般論特有のバイアスがあるので、スピードと応用力に優れるものの正確性は劣ります。

 

私がそれをイメージ図にしました。

パッとみた家を、ぱぱっとブロックで作ってしまう感じです。

 

 

 

対して、自閉症の場合は、まず窓を再現するために、窓の特徴と要素を限りなく分解しつつ、仕組みなども細かく理解していきます。

そのため、窓を理解しようとしているときは、窓しかわかっていません。

このイメージ図は「窓のいちぶぶん」だけなので、定型発達と違って、60枚は必要になってきます。

 

 

窓がどうやって動くのか?

なぜこのようにつながっているのか?などもあわせて理解したのち、ようやく窓が組みあがります。

 

このときに、「一般論」からの抽出はせずに、実際に体験ベースでの「正確さ」「事実」のみを抽出することができます。

まいぴ
これがまず自閉脳の細部に注目するという強みにです。

 

強みですが、同時に弱みでもあります。

 

正確性や事実の積み上げによって成り立つのですが、情報(データ)が少ないと、結論が出ないし、組みあがらない(パズルのピースが足りないので絵が創れない=全体が見えない)というデメリットがあります。

 

 

全体像が見えなければ、あなたは小人になって一部分しか見えないような世界に生きているのと同じなので、生きづらくなります。

 

しかし、トップダウンの人たちの思考はときにおおざっぱで雑なので、間違えたらすべてをぶっこわす(最初からやり直し)になることが多いです。

ボトムアップの人は、パズルのピースを「これだろうか?あれだろうか?」と精巧にくみ上げているだけなので、

 

 

情報の断片を間違えても、途中まで作っていたパズルそのものには影響がないのです。

 

間違えていたら、その部分を違う情報で埋めたらいいだけです。

 

全体像を語れるようになった自閉症の人は、内側から情報を集めて家を作りあげた張本人なのです。

だから、強い確信を持っています。

 

私も強い確信を持っている領域というのがあったりします。

短期記憶の弱さを「検索エンジン脳」で乗り切れ!

どうやら自閉症の人は、連想力が高いらしいのです。

そのことを知らなかった私はそれを「関連思考」と呼んでいました。

 

しかし、それは自閉症の人によくみられる注意力の障害のひとつである制御障害によってもたらされているようなものなのだそうです。

(ちょっと確信度70%くらいなので、自信がありません。間違えていたら追記します)

 

 

  1. 短気記憶は弱い傾向だが、長期記憶は強い傾向にある
  2. 優先順位がつけられない
  3. 作業記憶は低い傾向にある
  4. 要素の間(細部)の関連性を見つける力が高い

 

 

自閉症は、定型発達とは違う脳の処理をしています。

自閉症では前述のとおり「ボトムアップ」のため、理解するまでにわりと膨大なデータを必要とするのです。

 

その要素(パズルのピースのようなもの)が増えれば増えるほど、データは貯まり続けます。

すると、ある時、新しい概念がつくられたり、気づいたりすることで、点と点がつながるように、絵が見えたりします。

(雪解けのあと春はすぐそこ)

これは細部処理に優れている醍醐味といえるようです。

なぜならば、レゴブロックを思い出していただければわかるように「組みあがった家」よりも

バラバラの要素をつなげることで、新しいオリジナルの独創性の高い「作品」が創れるからです。

 

どうやらこれが、自閉症が創造性が高いことにつながっているようです。

 

概念と概念を超えて、異分野などの要素もくっつけることで、新しい何かを産む可能性は十分にあります。

自閉症と診断されたり、自閉症傾向が高いと言われたあなたには、高い独創性と創造性、そして細部からパターンを抽出する能力があります。

 

さらに、これはアスペルガー症候群だけの特徴なのかわかりませんが、論理的思考も強いといわれています。

 

あなたの力は劣っているものだけではありません。

自分自身の強みが、実は自閉症からきているということを知っておくことは、あなたの人生の大きな助けとなるでしょう。

 

まとめ

私は、最近、発達障害のコミュニティに入ってみました。

そこで交流したところ、境界知能と診断されてその枠に自分を当てはめてしまっている人がいることに気づきました。

世間的にも「境界知能」というのが流行って認知されはじめているので、「境界知能の自閉症」と診断されたことで、自分の人生は終わってると嘆く人がいるようです。

 

この記事はそんな人を励ますためにつくりました。

一見すると、一面の雪景色を見てしまうと自分には何もないような気もしてしまうものです。

しかし、それは自分自身の心が作り出している雪です。

時々、ホワイトアウトを引き起こすこともあります。

 

しかし本当は、雪の下にはしっかりと芽吹くものがあるはずです。

あなたは冷たい雪原では植物なんて育たないし、生えないと思っているかもしれません。

しかし、その雪の下から芽を見つけられるか?はあなたにかかっているのです。

 

(参考書籍:自閉症の脳を読み解く、テンプル・グランディン著、NHK出版、税込み2200円)

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